藤村克裕雑記帳
2016-06-06
  • 色の不思議あれこれ050
  • 「女わざと自然とのかかわり・農を支えた東北の布たち」展(1)
  • 先日、文化学園博物館を訪れたとき、掲示板で見つけたポスターで知った展示を見に世田谷区経堂に行ってきた。目指したのは東京農業大学「食と農」の博物館。小田急線経堂駅からてくてく歩く。商店街を抜けると、さすがにこの辺は静かな住宅街で稀に通る車の音以外、自分の足音だけしか聞こえてこない。穏やかな日でもあり大変気持ちがよかった。
    ちょうど付属高校の卒業式の日だったらしく、大学構内もすこし浮き立っているかのようだった。すぐに学食に向かい腹ごしらえ。少しゆっくりして、生協の本棚などを見物する。なるほど、この大学ならではの品揃えだ。パースの本やスケッチの手ほどきをする本などもあって、妙に納得してしまった。
    博物館は馬事公苑のそばにあった。無料。さっそく「布たち」の展示に向かった。
    そんなに広いスペースではないし、そんなに特別なものが並んでいるわけではないが、実に愛情のこもった展示で心地よい。「女わざの会」というのがあるのだそうで、その「会」とこの博物館との共同企画とのこと。展示と展示物に関する非常に親切な冊子も無料で配布されている。素晴らしいことだ。
    「女わざの会」には、「人前には出せないものだけど」「どうしても捨てられない」「私が居なくなったら焼かれてしまう」というようなものが持ち込まれてきたのだそうだ。「どうしても捨てられない」…、なんとなく分かるような気がする。だから、展示されている多くのものはじつに素朴な姿の布たちである。とはいえ、それらに込められた「思い」はじつに深く、それを受け止めた企画者の「思い」もあって、それらが伝わってくる。

    つづく
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  • [ 藤村克裕プロフィール ]
  • 1951年生まれ 帯広出身
  • 立体作家。
  • 1977年 東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻卒業。
  • 1979年 東京藝術大学大学院美術研究科油画専攻修了。
  • 内外の賞を数々受賞。
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