1 藤村克裕雑記帳 | 逸品画材をとことん追求するサイト | 画材図鑑
藤村克裕雑記帳
藤村克裕

立体作家、元京都芸術大学教授の藤村克裕先生のアートについてのコラムです。

藤村克裕 プロフィール

1977年 東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻卒業。

1979年 東京藝術大学大学院美術研究科油画専攻修了。

内外の賞を数々受賞。

元京都芸術大学教授。

「自由を扶くひと 望月桂」展を見た
2025-06-13
 6月5日。ひさびさの晴天。東武東上線・東松山駅に降り立って、市内循環バスに乗り、「丸木美術館東」で下車、さらにテクテク西に向けて歩き、なんとか「原爆の図 丸木美術館」にたどり着いて、表記の展覧会を見た。晴れ渡った外は明るすぎるくらいだったのに、ほぼ半日、自然光がほとんどない環境にいたことになった。帰路、外がとてもまぶしかった。
 展覧会タイトルの「扶く」を恥ずかしながら読めなかった。大昔、高校入学時に買わされた今やボロボロの『角川漢和中辞典』で調べて、やっと読めるようになった。「たすく」と読む。「望月桂」は、そのまま素直に「もちづきかつら」。

「原爆の図 丸木美術館」にははじめて行った。
 この名高い美術館の名はもちろん知っていたが、「原爆の図」というハードさに対する気おくれ、あるいは複雑な思いがあって、訪れるには至らなかった。が、今回は、「望月桂」 という人の作品をぜひ見たかったので、意を決して行って来たのである。
 最近、卯城竜太氏と松田修氏との対談を収めた『公(こう)の時代』(朝日出版社)という本をたまたま読んで、すごく感心したことは先にこの「雑記帳」に書いた。その本で、望月桂というひとや横井弘三というひとのことを初めて知ったことも書いたが、その後、偶然、この展覧会のことを知った。その時、これは見に行く、と決めて、その偶然に感謝した。

 たどり着いた「丸木美術館」の入り口、その分厚そうな板の扉は閉じられていた。めげずに扉右手のガラス窓から声をかけ、奥に現れた女性からチケットを買った。入口扉を、えいっ、と押して、中に入ると、ホールがいきなりショップになっていて、いささか面食らった。右手はガラス窓越しに事務所、左手に二階への階段やトイレがある。右手前方に通路を見つけて、ぐんぐん進む。左手に二つ展示室があったが、これらを素通りしてさらにぐんぐん進んで、風間サチコ氏デザインという(あとで知った)ヘチマをあしらったロゴのある仮設壁の両側の、人が出入りできるほどの“すきま”、その右側から展示室に入った。すぐのところに出品目録があったので、メモ帳がわりにさせてもらった。

コラムアクセスランキング