87 藤村克裕雑記帳 | 逸品画材をとことん追求するサイト | 画材図鑑
藤村克裕雑記帳
藤村克裕

立体作家、元京都芸術大学教授の藤村克裕先生のアートについてのコラムです。

藤村克裕 プロフィール

1977年 東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻卒業。

1979年 東京藝術大学大学院美術研究科油画専攻修了。

内外の賞を数々受賞。

元京都芸術大学教授。

相模原で「受験絵画」、群馬で佐賀町 その2
2020-12-01
 というわけで、次の日は家人と思い切って高崎・群馬県立美術館に行った。高崎駅から美術館まではかなりの距離があるので、何年か前から高崎に転勤になって仕事をしている息子に車で送ってもらった。「佐賀町エキジビット・スペース1983—2000現代美術の定点観測」展。すでに、一般書店でも、同スペースをめぐる分厚い本が発売されており、情報だけなら得ることができるのだが、見ておきたい、と思った。
 念入りなコロナ・チェックの後、会場に入ると、「佐賀町」の創設時からスペースを閉じるまでの展覧会の記録写真が一部屋に整然と展示されていた。実際に見たものも、見ていないものもあるのだろうが、すでに記憶が定かでなくなっている。
 大きな仮設壁6つで大まかに仕切られた広いスペースの中に作品が点在している。佐賀町にはなんども訪れていたはずだが、実際に見たはずのものが違って見える。例えば、岡部昌生氏。この巨大なフロッタージュは現場では壁にはなかった。床に広がっていた。それがここでは壁に設営されている。佐賀町のあの建物がなくなった今となっては、あの現場の床の痕跡をとどめるこの作品は記念碑的な意味さえ帯びてきている。いつだったか、札幌を訪れた時、岡部さんの息子さんの作品が中森さんのお店に並んでいるのを見て、感慨深かったことを思い出したりした。剣持和夫氏のドローイングも単独で壁にかかっているのを見ると、印象が異なって、ちゃんと絵になっている。


 

相模原で「受験絵画」、群馬で佐賀町
2020-12-01
 相模原・パープルームギャラリー で「受験絵画」の展覧会(「青春と受験絵画」展)をやる、というので、初日土曜日、はるばる行ってきた。決して大きいとはいえない(というか狭い)ギャラリーは、すでに人でごった返しており、中に入るのがためらわれるくらいだった。
 「受験絵画」というのは、「美術大学の入試で課題として出される絵画作品の呼称」で、今回の展示では「油画科および絵画科の試験用のための修練として描かれた作品、あるいは合格者の再現作品」(「青春と受験絵画」展冊子による)を指しているらしい。が、どの作品が再現作品で、どの作品が日常的に「修練」のために描かれた作品なのかはどこにも明示されていなかった。総数27点。新宿美術学院が協力している(らしい)。
 会場にいたギャラリー運営を主導する梅津庸一氏が、これはカワマタさんのですよ、とか、これは荒木さんのですよ、とか、これは荒木さんが「受験絵画」を教わった塩川さんのですよ、とか、これは安藤さんので、この年は落ちました、とか説明してくれた。
 「荒木さん」というのは梅津氏とともにこの展覧会を作り上げた荒木慎也氏。美術予備校のパンフレットのコレクターでもある(らしい)れっきとした美術史家である(らしい)。ちょうど会場に居て、少しお話しできた。
 

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